【新聞記事】2025年新春TOPインタビュー いであ 田畑彰久社長
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【海洋・生物多様性で成長】
中期経営計画の最終年度となる2024年12月期は、売上高、営業利益ともに目標を達成できる見込みだ。現中計では、初年度の22年12月期業績が最終年度の目標を上回り、「2年目、3年目と伸ばしていくのは厳しいと予想していたが、しっかりと成長を続けることができた」と手応えを感じている。
海洋資源開発に伴う環境調査や洋上風力発電関連の調査、AUV(自律型無人潜水機)の設計製作・運用支援業務、防災・減災分野やインフラ老朽化対策などの受注が増加している。そのほかの環境分野もTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)やTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)などの情報開示支援などで民間企業からの受注が伸びている。
さらなる成長に向けて注力するのは、海洋調査と生物多様性分野だ。「顧客や社会のニーズを捉え、それに合わせた技術開発や事業展開を進める」と方針を語る。具体的に海洋調査分野では、AUVに自動サンプリング機能を搭載し、機能の多様性を強化することで、より高精度な調査の実現を目指す。
生物多様性分野では、TNFDの情報開示に着目し、「今後、開示が進めば当社の強みであるネイチャーポジティブへの取り組みが新たなビジネスになる」と需要増加を見据え、生物多様性に関する世界目標『30by30』『劣化生態系の30%回復』に関連した民間企業向けのコンサルティングを強化していく。
新たな取り組みとして24年12月に東京海上日動火災保険と包括業務提携契約を結んだ。水素・アンモニアなどの新エネルギー分野におけるリスク評価事業に乗り出す。「新エネルギーの拡大には、ステークホルダーや地域の理解が必要だ。漏えいした場合の安全性や影響を評価するニーズが生まれている。このほかにも、いまある技術を生かし新しい切り口で社会に貢献できる事業を生み出していきたい」と力を込める。
こうした海洋調査・生物多様性分野の先進的取り組みが、人材獲得にもつながっている。一方、獲得競争が激しい土木分野では「ポテンシャルの高い人材を入社後の教育で強化するなどして対応している」という。
海外では、JICA(国際協力機構)やADB(アジア開発銀行)案件を中心に、環境問題や防災・減災分野に特化した事業展開を進める。地球規模の課題解決に貢献しつつ、「年5-10%の安定成長を続け、30年までに海外事業の売り上げを10億円規模にしたい」と成長を描く。