【新聞記事】3Dで「まるごと見える化」/CIMで河川管理高度化/いであ
- サービス・技術
いであは、3次元測量の成果をもとに構築した河川CIMを活用することで、河川管理の効率化・高度化を図る技術開発に取り組んでいる。受託業務の中で現況河道の分析・評価や事業効果の可視化に活用するなど、実施事例も積み上げている。今後、設計・施工・維持管理の各段階で得られた地形や構造物の3次元データを河川CIMに統合していくことで河川管理のさらなる高度化が期待できるとしている。
同社は、河川事業の各段階で得られた3次元データを活用することにより、河川周辺の堤内地も含めて見た目に近いリアル空間を創出し、専門的な知見がなくても現状や対策実施後の状況が「まるごと見える化」できるように取り組んでいる。
リアルな空間の創出では、一つのモデルだけでなく、デザインソフトやGISソフト、ゲームエンジンなど、顧客のニーズや課題に応じて最適なツールを組み合わせて柔軟に対応し実現できる方法を検討している。さらに創出したリアルな空間を動画で示すことで事業の価値や意義、効果をより分かりやすく示していく考えだ。
また、河川巡視や点検などで取得した写真・画像データについても河川を「まるごと見える化(リアルな3次元化)」することで河川管理の高度化・効率化を図る技術開発を進めていく。
こうした取り組みの一環として、2022年度に受託した業務の中で、神奈川県の相模川河口砂州の拡大前と拡大後に、砂州が洪水で流されるフラッシュが生じる様子を3次元モデルで示した。水理解析モデルによる計算結果(地盤高分布、水面分布、流速分布・ベクトル)を統合することで、時間軸を加えた4次元アニメーションによる洪水期間中の水位と砂州形状の変化の関係を可視化。河口砂州拡大後はフラッシュが生じる幅が広がらず流下阻害が懸念されることから、新たな砂州の管理基準の設定など維持管理上の課題が抽出された。
洪水を安全に流下させられる河積の観点から砂州高や樹木繁茂範囲の管理基準を設定し、河川CIMモデルに取り込むことで、対策すべき場所を3次元で可視化することも可能になるとしている。
また、揖保川・加古川(兵庫県)では、地域の環境学習の場などでの活用を想定し、ゲームエンジンを使って自然再生事業を実施した効果のイメージを示す3次元モデルや動画などのコンテンツと、地域と連携した環境保全活動の実施イメージを作成した。構造物や植生の情報を含めた河川の周辺一帯を再現したよりリアルな河川空間の構築は、自然再生事業の重要性に対する住民理解を深め、環境保全活動への参加を促すことが期待されるとしている。