【新聞記事】2023年新春TOPインタビュー いであ 田畑 彰久 社長
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第5次中期経営計画が始動した2022年12月期は、「当社グループの強みが生かせる分野に政府予算が重点配分され比較的順調に推移した」こともあり業績予想を上方修正。「連結売上高232億円の着地を見込んでいる。これは中計最終年の業績目標値を上回り、営業利益や純利益も過去最高を更新できそうだ」という。計画初年度での目標達成が見込まれる状況に「前中計で具現化してきた技術開発が売上げの形で現れてきた1年だった」と手応えを口にする。
一方で「非常に忙しかったという印象もある」とし、23年12月期は「引き続き展望は明るい」としながらも、「仕事が増えている中で生産体制は非常に厳しい状況もあって、今後さらに業績を大きく伸ばしていくことには少し無理がある」とみている。
このため、中計スローガンにある「イノベーションの加速と総合力の結集」に注力。「部門の垣根を越えて協力し合うことでわれわれの付加価値を高めることができる」と社員に呼び掛ける。22年4月に設置した社長直轄の「イノベーション戦略本部」は、部門横断的なプロジェクトを推進するエンジンであり、その下に置かれたインフラDX推進室やAI総合推進室、ライフケア事業推進室には、関心を持つ社員が部門やエリアを越えて全国から参画している。
4月末には静岡県焼津市の環境創造研究所敷地内に応用生命科学研究センターが完成する予定だ。「がん診断技術や遺伝子解析技術を社会実装していくための研究拠点として、将来に向けて大きな柱になっていく」と期待を寄せる。
重点分野では「気候変動分野や生物多様性の保全に関する企業、行政などへのコンサルティングサービス、ブルーカーボンやグリーンインフラなどの社会基盤整備、海底資源開発や海洋保護区管理に伴う外洋調査」などの環境コンサルタント分野に加え、建設コンサルタント分野では「防災・減災、国土強靱化への対応と気候変動を踏まえた治水計画の見直し、流域治水など防災まちづくり」への事業展開を挙げる。「プライム案件も増えてきた」海外事業も「今後さらに期待できる」とみる。
人材育成でも所属部門別ではなく、設定した課題ごとに参加する研修を取り入れることで「イノベーションが生まれやすい」機会を創出する。「数字を追いかけるのではなく、技術開発を含めて中身を強化する。人が生き生きと働いてこそ、コンサルはいい仕事ができる」と確信している。