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2019年 ニュースリリース

 IR情報 (『国際開発ジャーナル』2019年6月号・掲載)

技術結集し世界的な環境問題に貢献 いであ(株)の新社長に田畑彰久氏が就任

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今年3月28日付でいであ(株)の新社長に田畑彰久氏が就任した。マイクロプラスチックによる海洋汚染などの環境問題、持続可能な開発目標(SDGs)への取り組みなど、今後の方針について田畑社長に聞いた。(聞き手:本誌社長・末森 満)

深刻化する環境問題に商機

―新社長としての抱負を教えてください。
昨年9月、当社は設立50周年を迎えた。次の半世紀に向けて始動する年に新社長に指名され、たいへんな重責を感じている。

2019年から第4次中期経営計画がスタートしており、現在、「新規事業の創出・新市場の開拓と技術開発の推進」「海外事業の拡大と海外展開の推進」「人工知能(AI)・モノのインターネット(IoT)・ロボットなどの先端技術の利活用」「働き方改革の推進」など8つの経営課題に取り組んでいる。

―海外業務の状況は。
現在は国内業務に忙殺されており、海外業務には十分手が回っていない。しかし、開発途上国ではインフラが広く整備されてきた一方、大気汚染や水質汚染といった深刻な環境問題が顕在化してきている。当社が活躍できるチャンスが多い時期に来たと認識している。

当社は、環境分野と建設分野のコンサルティング業務を2:1ぐらいの割合で手掛けている。特に環境分野は、『日経コンストラクション』の建設環境分野における建設コンサルタント部門売上高ランキングで長年1位に選ばれてきており、リーディングカンパニーであると自負している。

海外業務は国内の事業とリンクしており、国内のさまざまな課題が途上国に、あるいは地球規模に広がってきている。そのため、国内で培った技術や経験を海外で生かすのが、当社の責任という意識で取り組む。

―環境分野の取り組みについて、今後の展開を教えてください。
6月に大阪で開かれるG20サミットでは、海洋プラスチック問題が取り上げられるはずだ。日本政府は国内対策の加速化に加え、途上国を巻き込んだ国際連携などの施策を打ち出し、イニシアチブを取りたいと意気込んでいる。当社としても力を入れていきたい。当社は、マイクロプラスチックの調査・分析法の世界的整合を目的としたガイドラインの作成や海域・河川域などの調査を受託している。今後、途上国の排出量や周辺での分布実態の把握、生態系への影響評価などの課題へ展開したい。

海外展開を目指すものの一つとして、カメラや音響システムを搭載した水中ロボットで海中の様子を見るという技術がある。国土交通省の実証実験で高い評価を得て、深海生物調査や海中橋脚の腐食調査に活用している。また、2017年に「水銀に関する水俣条約」が発効したことを受けて、東南アジアから「条約の批准に向けて、大気中の水銀調査方法に関する技術移転をしてほしい」との依頼が多く寄せられている。この他、海洋環境保全分野でも、国内での技術的優位性を活かした専門性の高いプロジェクトに活路があると考えている。

組織改編で先端技術の活用促進

―AIやIoTの分野でも、人材育成を進めていると聞きます。
今は情報通信やAIの知識が、イノベーションを起こすには不可欠だ。2年ほど前、AIとIoTについて社員を各1人、新設の専門性の高い大学院に送り出した。その社員2人が修了後、社内で講習会や勉強会を開いて、技術の水平展開を図っている。この4月にも、新たに社員を同大学院へ入れた。

また、同月にはそれまで社会基盤本部に置いていたAI推進室を社長直轄に改組し、「AI総合推進室」とした。それだけAIやIoTなど先端技術の利活用には注力しており、環境分野や管理部門でもプロジェクト選定を進める。例えばAI技術を活用して、海底生物を自動検知するシステムや、アオコの発生予測システムを構築し、すでに業務に活用し始めている。

―社員や留学生の採用状況について教えてください。
新卒を中心に毎年40~50人を採用しており、約3割は女性だ。さまざまな社会的課題に対応すべく、多様性を重視している。

新卒で入ってきた人からは、「海外で最新技術を生かしたい」「国や分野の枠を超えたダイナミックな仕事がしたい」という、海外志向の高い声も聞かれる。だが、海外の滞在期間は数週間程度を希望する人が多い。半年以上の長期赴任も積極的に挑んでくれる人材の確保が課題だと感じている。

そうした中で、留学生などの海外人材は、主に合弁企業のある中国から採用している。このほか、ベトナムなどからも毎年1~3人採用しており、主に日本の大学院の修士・博士課程の修了者で日本語や英語も堪能だ。

―SDGsへの取り組みをうたう会社も増えてきました。SDGsとはどのように関わっていきますか。
途上国における開発に環境問題は付いて回るため、当社の事業活動は、まさにSDGsそのものだと自負している。「人と地球の未来のために」というスローガンを掲げて、創業以来、時代とともに変遷する社会的課題に対処してきた歴史は、SDGsへの貢献に他ならない。

今後も、当社がSDGsの達成に、より積極的に貢献していくことに変わりはないが、その方針や具体的な内容を公式ホームページなどによって社内外に発信することで、人材の確保やESG投資を呼び込みたいと考えている。

海外展開においては、事前調査で現地のニーズと課題をしっかり押さえた上で、最善のやり方を見つけることが解決につながる。SDGsをその指針とすれば、持続可能な開発が実現できると思う。

<以下、囲みコラム>

気象予報から環境コンサルへ
(株)いであは1953年に日本初の民間気象予報会社である(株)トウジョウ・ウェザー・サービス・センターとして創業し、68年に環境分野のコンサルタントとして再出発。69年には新日本気象海洋(株)へ改名し、波浪予測の調査をはじめとする環境調査業務を開始した。77年に建設コンサルタント業者として登録を果たし、2006年に日本建設コンサルタント(株)との合併を経て現社名になった。

コンサルタント業務は大きく「社会インフラ整備」と「環境分野」に分かれ、特に環境分野ではリーディングカンパニーだ。前者では河川整備計画や河川堤防などの調査設計・維持補修計画、橋梁や港湾施設の点検・維持管理、防災・減災、後者では各種事業の環境影響評価調査、希少生物の保全対策、先端技術を用いた化学物質の分析やリスク評価、海洋・水辺での調査、気象データ解析、気象・海象予測などを手掛け、時には両者の垣根を越えて力を結集する。国内・海外で生活の諸問題を解決し、社会の持続的発展と環境保全・継承を支える。

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